【生物多様性】トラ編

1.トラは何頭いる?

20世紀の初めは世界に10万頭が生息していたとされる野生のトラ。
そんなトラですが、現在はどのくらい生息していると考えられているでしょうか?

かつてはアジアに広く生息していたとされていますが、現在では中国北部やロシア、インドやベトナム、マレーシア、インドネシアなどに生息域が分かれ、約2100~3100頭(成獣)生息していると推定されています。

2.トラはどこにいる?

他方で湿地帯や熱帯林など、多様な生息環境に存在しているがゆえに、その生態は今も多くが謎に包まれています。今後の保護活動を推進してゆくためにも、トラの生息域やその生態、個体数調査は継続して行なっていく必要があります。

3.トラはなぜ減ってしまった?

トラが減った原因として、人為的な影響によるものが多く考えられています。
生息地によってその主たる原因は異なりますが、例えば近代において植民地であった地域においては、上流階級の娯楽としてトラをハンティングすることもあり、頭部や牙などを栄誉のために飾るなどしていたそうです。
また、農地開発や森林伐採などにより、トラの生息地は100年間で9割が減少しました。生息地が分断したことにより、近親交配による遺伝子の劣化など保護上でも大きな課題となっています。

4.トラが減ることで私たちの生活で何が起きるのか?

地球上には様々な生物が存在し、そうした生態系ネットワークによって土壌中の栄養や草花の種の拡散がなされ、その恩恵として私たちも豊かな食、生活を営むことが可能となっています。

生態系ネットワークは地域やエリアによっても関係する種が異なることもあり、種同士の関係性は非常に複雑です。
そのため1種が失われた場合のインパクトはなかなか表面化しづらい、特に人間社会においては感じづらいものですが、不可逆的な生物多様性を回復・維持していくことは、私たち人間が活動を続けていくためにも非常に重要です。

5.私たちになにができるか

高度にシステム化された人間社会においては、自然とのつながりを意識したり生き物の存在を感じることすら難しくなってきています。他方で、私たちの食べもの、着る素材、住む材料など、その多くを自然資本に頼ることで生活が成り立っています。
1人1人がトラの生息地に赴き、保全活動することは難しいかもしれませんが、現地で活動する人たちを様々な形でサポートしたり、今年正式に発足したTNFDの動向を注力したり、生物多様性にも配慮している商品を意図的に選択したりなど、少しずつでもできることがあると思います。
まずは興味があるもの、好きな動物から事実を調べてみることが、貴重なアクションの一歩なのだと思います。
この記事を最後まで読んでいただいたあなたと、次はどのような一歩何が踏み出せるのか、一緒に考えていけたらと思います。