地球の救世主を目指すSav”ER” 金田謙祐さん

●金田さんご経歴
新卒で株式会社サイバーエージェントに入社。
小学生向けのプログラミング教育を手掛ける子会社にて事業責任者として従事。
株式会社ユーグレナでは、経営戦略部にてM&A業務等を経験した後、現在、採用リーダーとして新卒及び中途採用を担当する他、組織エンゲージメント向上、オンボーディング、人事制度設計等に関わる。



 中学2年生の時に読んだ「風の谷のナウシカ」の漫画をきっかけに、まっすぐに環境問題の解決に挑戦する金田さん。現在は株式会社ユーグレナで採用リーダーや組織エンゲージメント向上等を担当し、急拡大する環境ベンチャーを土台から支える重要な役割を担っています。
そんな金田さんに、これまでどのような考えでキャリアを歩み、今後どのように環境問題の解決に立ち向かっていく予定か、お話しを伺いました。

漫画の世界だけではなかった
人間×自然環境の問題


ー 現在はバイオマス燃料でも話題のユーグレナでご活躍されているとのことですが、どのようなお仕事をされていらっしゃいますでしょうか?

ユーグレナ社は、社名にもなっている通り微細藻類ユーグレナを食品にすることから事業がスタートした会社です。2020年にフィロソフィーを「サステナビリティ・ファースト」と設定し、サステナビリティを軸に食品、化粧品、バイオ燃料、遺伝子解析などの商品・サービスを提供している企業です。僕は、現在人事で採用担当をしています。

環境問題に興味があってこの会社に行きついたのですが、自らのパフォーマンスが最大限発揮できるポジションであれば、職位や職種には特にこだわりはありません。この会社が成長することで、エネルギー・環境問題に貢献できる、気候変動の解決に対するインパクトが大きくなっていく、ということであれば、その会社が成長することに貢献したいと考えています。

ー 環境問題を意識したきっかけは何だったのでしょうか?

もともと兵庫県尼崎市出身だったのですが、中学生になる前くらいに滋賀県に引っ越し、自然が豊かな地域で、育ちました。
テレビで温暖化問題の報道等を見て、僕らが豊かになればなるほど温暖化による環境変化で動植物が死んでいくということが、純粋にイヤだなぁ・・と感じていました。
そんななか、高校受験のために通い始めた塾で出逢ったのが、風の谷のナウシカです。

当時も今もそうですが、自然は好きだけど虫が苦手で(笑)、大きな虫がたくさん出てくるナウシカを映像では見たことはなかったのです。他方で、漫画だったら虫が動いて見えないし、読めるなって思って読み始めました。
ナウシカの世界では、人間の活動により汚染された環境下で人間と動植物が暮らしている側面が描かれていますが、これって漫画の世界だけでなく、現実としても起きているのではないかと気づきました。漫画の世界では死に物狂いでナウシカが解決に導こうとしていましたが、当時14才の僕にとっては、現実世界で環境問題に本気で取り組んでいる人がいないように見えました。僕が世間知らずだっただけですが(笑)。
そこから、環境問題の解決を目指す、21世紀のナウシカになろうと決めました。

ナウシカに憧れ、ナウシカに出てくる地下室をイメージした部屋に改装

ー ビジネスの世界を選んだのはなぜでしょうか?

ナウシカの影響もあり、映画監督になろうと一時期考えていました。
ところが何かの本で、映画監督になるためには10年の修行が必要で、加えて修行しても監督になれるかどうかは運、と書いてあるのを見かけ、国際公務員を目指すようになりました。
大学院では、国際連合で働かれたご経験もある先生の下で京都議定書などの国際交渉に関する研究をしていたのですが、研究を通じて、(当たり前ではあるのですが)国連に入ったとしても、国連内にもいろいろな部門があり必ずしも自分が望む業務を担当できるわけではないを知りました。また、国連で働かれていた先輩に話を聞くと、国連は加盟国との調整での意思決定の範囲が大きく、「自ら変える施策を実行する」という面では自分の思うところと違うかもと考えるようになりました。
そこで改めて環境問題を解決するためのアプローチはなんやろ、と考えたとき、アカデミアの世界では、すでに環境問題に対する問題意識を持った先輩や同期が頑張っていたのと、当時、僕の身の回りでビジネスの世界でチャレンジしている人は多くなかったので、ビジネスの世界に足を踏み入れることにしました。

子供たちが諦めている未来を
創りたくない


ー パリ協定のマイルストーンにもなっている2030年。
  金田さんはどうなっていたいでしょうか?

自分がどうありたいかというよりも、こうあって欲しくない未来はあります。
それは、2021年の現在から2030年まで、残り9年間を走り続けた結果、「結局、環境問題ってどんなに頑張っても改善されないじゃん」というのを子供たちが言っているところは見たくないと思っています。
「2050年まで残り頑張ろう!」ではなく、「もう手遅れなので、私達は努力しません」となってしまっているような状況は避けたいと願っています。


ー 金田さんにとって環境問題とは何でしょうか?

自分が生きている間に解決したい問題、ですね。
ナウシカの本を読んだきっかけもありますが、環境問題に本気で取り組まれている人が自分の周りにはまだ少ないため、余計に自分がやらないといけないと思っています。逆に他の人が解決してくれるなら、もしかしたら僕はやらなかったかもしれません。
知人の話ではすでに一部の子供たちが環境問題に対して諦めの言葉を口にしているような話も聞きました。
改めて、残りの時間を意識して、どうにかできるコトを最大限やっていきたいと思っています。


●取材を終えて
中学生のときに抱いた「21世紀のナウシカになる!」という夢を掲げ、悩みながらも1歩1歩着実に、自分のありたい姿と環境問題の解決に向けた道を歩んでいっている金田さん。
そんな金田さんの純粋な人柄や真っ直ぐに立ち向かうその姿に心惹かれた学生は多いと思いますし、金田さんのような存在は、環境問題に対してすでに諦めの意識を抱いてしまった子供たちや若い人たちにも勇気を与え続け、彼らが未来に希望を持てるようになることに繋がっていくのではないかと感じました。
2030年まであと9年。
今と未来の子供たちがこの世界で生きていくことを諦めてしまうことがないよう、この記事を最後まで読んでいただいたあなたと共に、正念場の9年をどう乗り越えていくか、考えていければと思います。