人と農業と社会の未来を描くDesign”er” 池田航介さん

中学1年生のときに母親を病気で亡くし、親や家族などの身近な人に恩返しがしたい、幸せになってほしいと思うようになり、”幸せ”とは何かを問い続けてきた池田さん。
将来的には家業の青果仲卸会社を継ぐことを見据え、身近な幸せに気づくきっかけを与えてくれたエコビレッジの考えや、暮らしの一部として農業を取り入れたライフスタイルを広めていきたいと考える池田さんに、現在の活動内容やその裏側にある想いを伺いました。

人と農業の新しい関係性を築くために立ち上げた
PERMA FUTURE

ー 池田さんは現在大学4年生ということですが、学業以外にどのような活動をされているのでしょうか?

僕の実家は静岡沼津市にある、1840年代創業の青果卸売会社になります。
将来的には8代目として家業を継ぐ予定でして、きつい・汚い・儲からないと言われる農業を何とか変えていきたい、強い農業をつくっていきたいと思い、大学2年生のとき友人たちと全国の農家さんをひたすら回って、お話を聞くということをしました。
様々な農家さんの話を聞く中で、生業として”農”を追求すると営利や生産性を高めるために農薬を使わなければならず、自然負荷が高い農業になってしまう可能性があることに気づきました。また、「家業イノベーション・ラボ」というプログラムでオランダの農家さんを視察したり、自給自足の暮らしを実践しているエコビレッジを視察してきました。エコビレッジでは”儲け”を追求するための農業ではなく、暮らしの一部として農業を営んでいました。
そこから僕は暮らしとしての”農”を追求し広めていきたい、と強く思うようになり、PERMA FUTUREという任意団体を立ち上げました。

PERMA FUTUREのメンバー

PERMA FUTUREでは、大きく分けて3つ事業をやっています。
1つ目は、Ecovillage lifeというオンラインコミュニティ事業です。
月額性のオンラインコミュニティでして、エコビレッジに住んでいなくとも家庭菜園やヴィーガン食などをオンライン上でみんなと学びながら実践するということをしています。
2つ目は、エコビレッジ健康茶というプロダクト開発をしています。
エコビレッジ健康茶は二酸化炭素をより多く吸収する葉を茶葉として採用しており、飲めば飲むほど環境問題の解決に貢献できる、更に健康にも良くて味もめちゃめちゃ美味しい!という商品です。健康茶というプロダクトを通じてエコビレッジのよさを伝えていきたいですし、将来自分が継ぐ仲卸業で人にも環境にも良い商品を販売していきたいと考えており、その第一歩として開発したものとなります。
3つ目は、「地球散歩」と題してエコビレッジの暮らしを4泊5日で体験しながら、自分たちのこれからの暮らしや地球を考えるというプログラムの企画・運営を行っています。

エコビレッジでの農業体験
ゼロから標品開発したエコビレッジ健康茶

農業は食糧供給だけでなく、人々のメンタルヘルスを整えたり、コミュニティがつくらるなど色んな可能性を秘めています。
暮らしの中にふんだんに農業がある生活として「開けたエコビレッジ」が社会に広がっていければと考えています。

約200年前から続く青果の仲卸業
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PERMA FUTURE

ー 池田さんがエコビレッジに興味を持ったきっかけは何だったのでしょうか?

全国の農家さんを回っていたなかで、ふと「こういう場所があるよ」と紹介を受けたのが九州にある「さいはて村」というエコビレッジでした。
最初はその暮らし方に「パンチがあって面白いなぁ!」と衝撃を覚えました。その次に訪れた屋久島のエコビレッジは思想がしっかりしていて半分縄文時代のような暮らし方をしていました。そうしていくつかのエコビレッジさんを回っていくと、エコビレッジのコミュニティによって思想や考え方が異なることも段々わかってきて、エコビレッジの根底にあるパーマカルチャーにも興味を持ち始めました。
僕が目指すエコビレッジは社会から断絶せず、誰でも立ち寄れるカフェを運営するなど経済も回していく形が理想的で、そうした暮らしのなかに農業が在るような形を追求していきたいです。

ー 池田さんが家業を継ごうと意識したタイミングはいつだったのでしょうか?

家業を継ごうと意識し始めたのは高校生の進路を考え始めたあたりからでした。
もともとは「何で僕が継がなきゃいけないのか」と思っていたくらいでしたが、中1のときに病気で母親が亡くなり、色んな親族や友人、特に父親に支えられて育ってきました。高3の進路を考えるタイミングで「自分が成すべきことは何だろう」と考えた際、代々受け継いできた家業を継いで、そこで僕の力を発揮していくことなのかもしれないと思い至り、家業を継ぐことを決意しました。
仲卸業は果物農家だけでなくスーパーやケーキ屋など様々な繋がりがあります。
将来的には仲卸業とPERMA FUTUREの活動をドッキングさせ、健康茶などのプロダクトを流通させ、その流れでエコビレッジの考えも広めていきたいなと思っています。

暮らしのなかにある農業から
現代社会での身近な幸せをつくる

ー 今後、環境問題やサステナブル、そして農業とどう向き合っていきたいですか?

僕の一連の行動の源は、”何が幸せなのか”という問いから来ています。
母親が亡くなったことを受けて、自分ができる恩返し・親孝行は何だろうと問うたとき、それは僕自身が幸せになることだなと思いました。

”幸せ”をキーワードとする開けたエコビレッジの普及を目指す

環境問題に興味があるというとよく「どうしてそんなに利他的に生きていけるのか?」と言われたりしますが、そもそも人間って一人では生きていけず、お互い感謝しあうような利他的な部分がないと生きていけないと思っています。
現代はあらゆるものがお金で代替できてしまうため、一人で生きていけてしまえる環境をつくることができますが、人にしろ食にしろコミュニティにいろ、いかに感謝しあえるか、”おかげさまで生きている”ということをいかに実感できるか、がその人の幸福感を左右する要素になるのではと考えています。
全国の農家さんを回るなかで売上を上げて経済を回していくことの必要性も理解しましたが、会社を大きくしていくことや経済を回していくことだけが必ずしも幸せに繋がっていくわけではないと感じました。まずは地球環境あってこその経済活動であり、その先に人々のwell-beingがあると思っています。現代は経済活動が先行しがちですが、基盤となる地球環境の状態をきちんとした上で経済活動が回っていかないと、あるべき幸せを目指せないと思います。
なので、身近な暮らしを大切にして身近な幸福に気づくエコビレッジの暮らし方やノウハウを現代社会にどう応用していくかが今後の課題です。資本主義にも寄らない、社会主義にも寄り切らないPERMA FUTUREの暮らし方をどのように社会に実装して広めていけるか。そのなかで農業をいかに環境に優しい方向に持っていけるか。環境に優しい形でつくられた農産物を仲卸としてどうブランディングして広めていけるか。
PERMA FUTUREの活動と代々受け継がれてきた仲卸のコネクションをフルに使って、人と農業と社会の幸せのために何ができるか問い続け、未来を描いていきたいと思います。

●取材を終えて
「環境・経済・幸せの循環する社会の実現」というミッションを掲げるPERMA FUTURE。取材を通じて、ミッションとして掲げている”幸せ”という言葉に池田さんがどのような想いや願いを込めているのか、知ることができました。
忙殺される日々であっても、身近な暮らしのなかにある幸せに気づけたら、今よりきっと少し優しく、穏やかな心持ちで自分の幸せに向き合うことができるのではないでしょうか。そうして自分の幸せを大切にすることが、ひいては周りの人や地球を大切にすることに繋がるのかもしれません。
自分にとっての幸せって何だっけ・・?と探してみたくなった方は、PERMA FUTUREさんの活動へ訪れてみるのもいかがでしょうか。

▶PERMA FUTUREさんの活動はこちらから↓
 https://permafuture2050.wixsite.com/official